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TDI(Time Delay Integration)センサカメラ

TDIとは?

TDIとはTime Delay Integrationの略で時間差積分と言いましょうか?時間をズラしながら光量を積算していくセンサです。

 

通常のラインセンサカメラではエリアセンサとラインセンサとの比較でも紹介しているように、センサの露光時間が短くなり、どうしても撮影した画像が暗くなりがちです。

そのため、照明も高輝度の物が必要になったりと、欠点もあるのですが、その欠点を解消しようとしたのがこのTDIセンサです。

 

見た目では、ラインセンサの縦方向に少し画素数(64画素や96画素など)のある、横長のエリアセンサのような形状をしています。

Line Sensor Line Sensor
ラインセンサ TDIセンサ

 

動作的には被写体を少しずつズラしながら、被写体の移動に合わせて、輝度値を積算(合計)していくので、光量が大きくなるうえ、積算することで平滑化効果もあるので、ノイズが低減されます。

 

ラインセンサ(左側)とTDIセンサ(右側)の動作イメージでは、こんな感じ↓

 

TDIセンサカメラ

 

カメラの横方向から見ると、下図のように、被写体の移動に合わせてセンサの積算タイミングも同期しながら撮影されます。

 

TDIセンサカメラ

 

 

TDIセンサカメラの撮影システム

TDIセンサは、被写体の移動に合わせて同期しながら撮影する必要があるため、一般的にエンコーダ信号を用いて同期しながら撮影されます。

 

ステージに取り付けられたエンコーダ信号を画像入力ボードで受け、画像入力ボードは、エンコーダ信号に合わせてカメラへ同期信号を送ります。

カメラは、この同期信号に合わせて撮影し、画像入力ボードへと撮影データが送られます。

 

撮影システムの概要については下図のようになります。

 

TDIセンサカメラ撮影システム

 

カメラ、画像入力ボードについては 光学部品/カメラバイヤーズガイド を参照下さい。

 

注意点

まず最初にTDIセンサは、ラインセンサに比べて格段に取扱いが難しく、カメラ自身も比較的高価な物となります。

そのため、一度ラインセンサで撮影してみたものの、どうしても輝度値がかせげない場合などにご検討下さい。

 

また、TDIセンサは撮影する場所を少しずつズラしながら積算するので、被写体の移動と完全に同期していないと、画像の縦方向がボヤけた画像になってしまいます。

また、積算方向(カメラの上から下か?、下から上か?)の設定(カメラの設定)があるので、ご注意下さい。

これが合っていないと、いくらレンズのピントを合わせても、縦方向にボケた感じの画像となってしまいます。

 

そのため、レンズのピントを合わせるのが難しいのですが、まずは画像の縦方向にエッジの出るような被写体を撮影して、画像の横方向のピントが合うように調整して行きます。

 

次にスキャンレート(撮影をズラすタイミング)を設定して行くのですが、これは画像の横方向の視野幅とエンコーダの送り方向の分解能から、エンコーダの何パルス毎に撮影すればよいか?ある程度計算できますが、このパルス数を調整することで、縦方向のピントが合ってきます。(”ピントが合う”という表現はちょっと意味が違うのですが...)

 

また、TDIセンサは輝度値を積算していくので、撮影した画像の最初の数ライン分(TDIの縦方向の画素数)は、輝度値が不安定な物になるので、その分だけ画像データを除外する事がよくあります。

この画像データを除外する機能は画像入力ボードの役目なので、ボード側の設定を行って下さい。

 

その他

最近ではTDIセンサはやはり高価なので、縦方向に2画素だけあるような、デュアルラインセンサという物が出て来ていますが、基本的な考えとしてはTDIセンサと同じなので、取扱いにはご注意下さい。

 

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