工業用の画像処理の分野では画像を撮影して検査をするばかりでなく、半導体やFPDの業界では位置決め(アライメント)用途にも応用されています。今回は位置決め用途で用いられているUVWステージという、高精度のステージを紹介したいと思います。
通常のXYθステージとUVWステージの基本構造は以下のようになっています。(若干異なる場合もあります。)
【通常のXYθステージ】
【UVWステージ】
UVWの各軸は、下図のように可動します。
UVWステージでXYθの位置決めが出来る原理は、
上図のようにU軸を動かすとステージはX方向へ移動し、V軸とW軸を同時に動かすとY方向へ移動します。
さらにU軸、V軸、W軸を同時に動かすとステージは回転します。
UVWステージの特徴は
- ステージの高さを低く抑えられる
- 二層構造なので、ベース面とステージ面との平行度を出しやすい
- モーターが移動しないので、配線が用意(断線する可能性が低い)
- 高精度
など。
なぜ?UVWステージが高精度の位置決めが可能になるかというと、特に回転方向の位置決めにおいて、同じ移動分解能のモータを使う場合、てこの原理のように、回転中心から離れた位置でステージを動かした方が回転の分解能は向上します。
FPDなどの位置決めにおいては、ステージのサイズも大きくなり易いので、ステージの両端で回転方向を制御するUVWステージは有効的に高精度な位置決めを可能としてくれます。
そんな良い事だらけのUVWステージですが、欠点もあります。
- 移動可能範囲が狭い
- ステージ制御が難しい
など。
移動可能範囲が狭いのは、もともと位置決め用途で使われる場合の多いUVWステージなので、最初にメカ的に粗調整しておき、UVWステージで精調整する場合が多いので、あまり問題にはならないと思います。
ステージ制御においては、位置決めマークの位置を画像処理で抽出し、ズレ量を算出し、目的の位置へと合わせ込みますが、この時のずれ量は通常、X、Y、θのずれ量で算出されます。
しかし、XYθ軸の移動量からUVW軸の移動量へと変換するには、ちょっと面倒なのでUVWステージの制御や位置決めの処理をライブラリ化している物もあるので、使用を検討してみては如何でしょうか?
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