いろいろと検索していたら、2008年の国家試験に以下のような問題があったらしい。
画像が最も平滑化される空間フィルタはどれか。
ただし、数字は重み係数を示す。
(参考)http://www.clg.niigata-u.ac.jp/~lee/jyugyou/img_processing/medical_image_processing_03_press.pdf
この問題、
1.ラプラシアンフィルタ
2.3x3の移動平均フィルタ
3.3x3のガウシアンフィルタ
4.5x5の移動平均フィルタ
5.5x5のσが小さめのガウシアンフィルタ
なので、正解は4番だとは思いますが、そもそも平滑化ってなに?
というところに引っかかった。。
平滑化 = 画像をボヤかす なら、4番が正解
平滑化 = ノイズを除去する なら、3番か5番はどうだろう??
そもそも「ガウシアンフィルタは中心の画素からの距離に応じてσを小さくすると、平滑化効果が弱まり、σを大きくすると平滑化効果が強くなる」というのが教科書的な説明で、昔の私もそのように書いちゃってますね。。
ただ、ガウシアンフィルタには ローパスフィルタの特性もある というのも大事な特徴だと思います。
試しにガウシアンフィルタを画像にかけてみると、
オリジナル画像 |
3×3移動平均フィルタ | 3×3ガウシアンフィルタ |
これだと、差が分かりにくいので、やや意図的なデータではあるのですが、1次元データに対して、1/3, 1/3, 1/3 という移動平均と 1/4, 2/4, 1/4 のガウシアンフィルタとで比べると、
オリジナルデータ |
移動平均フィルタ |
ガウシアンフィルタ |
となって、ガウシアンフィルタの方がノイズ除去ができています。
上記データはあまりにも意図的なので、いまいち納得できないような部分もあるかと思いますが、連続する3点のデータにおいて、ノイズの成分がどのように加わっているのか?を考えると、理論値からのズレは
+-+
ー+-
++-
ー++
+--
ーー+
のように「+側のノイズが2個、-側のノイズ1個」もしくは「+側のノイズが1個、-側のノイズ2個」となるので、平均すると、+1/3 もしくは -1/3 余ってしまいます。
ガウシアンフィルタでは、少なくとも
+-+
ー+-
のパターンでは、+1/4-2/4+1/4 もしくは ー1/4+2/4ー1/4 となるので、誤差が打ち消しあってくれます。
その他の
++-
ー++
+--
ーー+
パターンでは+1/2 もしくは -1/2 となるので、移動平均よりもダメ!と思ったりもするのですが、この場合は5点以上のガウシアンフィルタを用いると誤差が消えてくれる可能性が高くなります。
...と、何が言いたかったかというと、ガウシアンフィルタでは、ローパスフィルタの効果があるため、高周波のノイズには移動平均フィルタよりガウシアンフィルタを用いた方が効果的な場合があります。
私の本職では検査装置などで使われる工業用のカメラを用いる事が多いのですが、工業用のカメラで撮影した画像のノイズと言えば、まずは高周波なノイズなので、ノイズを消したい場合は、移動平均フィルタよりも、まずはガウシアンフィルタを検討するようにしています。
ガウシアンフィルタの方が画像がボケないですし。
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