.NETで画像や線などを描画する時はGraphicsオブジェクトに対して描画を行いますが、このGraphicsオブジェクトの座標系をアフィン変換する処理をグローバル変換と言います。
グローバル変換された Graphicsオブジェクトに対し描画を行うと、アフィン変換された状態で、画像や線が描画されます。
ただ、一般的なアフィン変換では
のように表現される場合が多いかと多いと思いますが、マイクロソフトの仕様では、上記の行列を転置(行と列を反転する)した
のように表示されます。
また、アフィン変換の座標系は下図のように、左上が原点、Y軸は下方向、回転は時計周りが正の方向となります。
そのため、平行移動や拡大縮小、回転の変換行列も一般的な変換行列を転置した表現となります。
X軸方向へTx、Y軸方向へTyだけ移動する平行移動の変換行列は、
X軸方向へSx倍、Y軸方向へSy倍だけ拡大する変換行列は、
原点まわりにθ°回転移動する変換行列は
となります。
少し紛らわしいので、一般的なアフィン変換と混同しないように注意して下さい。
このように表現するのは、私の経験的にはマイクロソフトだけ?だと思います。
(参考)
しかし、.NET Frameworkでは特に変換行列を知らなくても、アフィン変換用のメソッドが用意されているので、それらを使うと間違いが少ないでしょう。
平行移動は TranslateTransform
拡大縮小は ScaleTransform
回転移動は RotateTransform
(参考)Graphicsメソッド
逆に、行列を使ってアフィン変換する事も可能なので、スキュー変換のような変換も行う事ができます。
(参考)
また、アフィン変換を行うと、変換後の座標から、変換前の座標を計算したい場合がありますが、System.Drawing.Graphics.TransformPointsというメソッドがあるので、これを使うと簡単に座標が求められます。
これらのメソッドを使って、アフィン変換のサンプルプログラムを作成しました。
(ダウンロード)GlobalTransformations.zip(Visual Studio 2008 Exress C#)
このサンプルでは見た目上では一般的に用いられる行列の表現に合わせています。
また、エラー処理などは行っていないので、ご了承下さい。
アフィン変換の勉強の手助けになれば...
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