【C++/CLI】画像データの拡大縮小

画像表示の拡大縮小については画像の拡大縮小表示(高機能版)として紹介しましたが、今回は画像データのそのものを拡大縮小する方法を紹介します。

 

画像データを拡大縮小するにはSystem.Drawing.Bitmapクラスの以下のコンストラクタを用いる事で可能となります。

 

Bitmap (
    Image^ original,
    int width,
    int height
)

 

概要

指定したサイズを使用して、指定した既存のイメージで Bitmap クラスの新しいインスタンスを初期化します。

 

パラメータ

original 新しい Bitmap の作成元の Image
width 新しい Bitmap の幅 (ピクセル単位)
height 新しい Bitmap の高さ (ピクセル単位)

 

処理例

//元の画像
Bitmap^ src = gcnew Bitmap("test.bmp");
//縮小画像(1/2に縮小)
Bitmap^ dstSmall = gcnew Bitmap(src, src->Width / 2, src->Height / 2);
//画像の保存
dstSmall->Save("SmallImage.bmp", Imaging::ImageFormat::Bmp);
//拡大画像(2倍に拡大)
Bitmap^ dstBig = gcnew Bitmap(src, src->Width * 2, src->Height * 2);
//画像の保存
dstBig->Save("BigImage.bmp", Imaging::ImageFormat::Bmp);

 

処理結果

元の画像(test.bmp)

 

縮小画像(SmallImage.bmp)

 

拡大画像(BigImage.bmp)

 

補間モード(InterpolationMode)を指定して保存したい場合は、いったんGraphicsを通して画像を描画することで、補間モードを設定します。

 

//元の画像
Bitmap^ src = gcnew Bitmap("test.bmp");
//拡大画像データの確保
Bitmap^ dst = gcnew Bitmap(src->Width * 2, src->Height * 2);
//Graphicsオブジェクトの確保
Graphics^ g = Graphics::FromImage(dst);
//補間モードの設定
g->InterpolationMode = Drawing2D::InterpolationMode::HighQualityBicubic;
//拡大してGraphicsへ描画
g->DrawImage(src, 0, 0, src->Width * 2, src->Height * 2);
//画像の保存
dst->Save("BigImage.bmp", Imaging::ImageFormat::Bmp);

ただし、この方法では元の画像データ(src)がモノクロデータ(8Bit)の場合、上記のプログラムのままではR,G,Bの値が等しい24Bitのカラー画像として保存されてしまいます。
モノクロ画像データとして保存したい場合は、カラー画像からモノクロ画像に変換するしかなさそうです。

【C++/CLI】画像の拡大縮小表示(高機能版)

画像の拡大縮小表示(簡易版)のページでは、簡単に画像の拡大縮小表示する方法を紹介しましたが、画像サイズが大きいときなど、不都合な場合があるのですが、その時にはDrawImageメソッドを使って画像を拡大縮小表示します。

Win32APIのStretchDIBits関数に相当するのが、.NETではGraphicsクラスのDrawImageメソッドになります。
DrawImageメソッドには実に30個ものオーバーロードがあり、その分だけ高機能になっているのですが、詳細はMSDNに任せるとして、これまで慣れ親しんできたStretchDIBitsに近いメソッドを紹介します。

 

DrawImageの構文は以下の通り

void DrawImage (
	Image^ image,
	Rectangle destRect,
	Rectangle srcRect,
	GraphicsUnit srcUnit
)
image 描画するImageオブジェクト
通常はBitmapオブジェクトを渡す
destRect 描画先(ピクチャボックスなど)の描画領域
srcRect 描画するImageオブジェクトの領域
srcUnit srcRect パラメータで使用する単位を指定する GraphicsUnit 列挙体のメンバ
通常はGraphicsUnit::Pixelと指定すればOK

 

また、Win32APIのSetStretchBltModeのように伸縮モードを設定するには、.NETでは
GraphicsオブジェクトのInterpolationModeプロパティで設定します。

 

Default 規定の補間モード
High 高品質補間
Low 低品質補間
NearestNeighbor 最近傍補間
Bilinear 双一次補間
Bicubic 双三次補間
HighQualityBilinear 高品質双一次補間
HighQualityBicubic 高品質双三次補間

 

画像処理のプログラムでは画素の1つ1つが良くわかるNearestNeighborがオススメです。

 

ということで、画像を等倍で表示する場合は、srcRectとdestRectを同じサイズに指定します。

 

画像を n倍に拡大する場合は、srcRectをdestRectの1/n倍のサイズに指定します。

 

 

この処理のサンプルプログラムは以下に示しておきます。
ただし、エラー処理などはまるで無視しています。

 

 private: System::Void Form1_Load(System::Object^  sender, System::EventArgs^  e) {

     //PictureBoxと同じ大きさのBitmapクラスを作成する。
     Bitmap^ bmpPicBox = gcnew Bitmap(pictureBox1->Width, pictureBox1->Height);
     //空のBitmapをPictureBoxのImageに指定する。
     pictureBox1->Image = bmpPicBox;
     //Graphicsクラスの作成(空のピクチャボックスからGraphicsを作成する)
     Graphics^g = Graphics::FromImage(pictureBox1->Image);

     //伸縮モードをNearestNeighborに設定
     g->InterpolationMode = Drawing2D::InterpolationMode::NearestNeighbor;

     //描画するビットマップ
     Bitmap^ bmp = gcnew Bitmap("c:\\test.bmp");
     //画像の描画
     int DrawScale = 5;
     g->DrawImage(bmp,
      System::Drawing::Rectangle(0, 0, pictureBox1->Width, pictureBox1->Height),
      System::Drawing::Rectangle(140, 100, pictureBox1->Width / DrawScale, pictureBox1->Height / DrawScale),
      GraphicsUnit::Pixel);
    }

 

実行画面

 

【C++/CLI】画像の拡大縮小表示(簡易版)

C++/CLIで簡単にできる画像の拡大縮小表示を紹介します。

 

今回、作成したプログラムはこんな感じ↓です。

 

 

このサンプルプログラムはこちら
SimpleZoomImage.zip
(VisualStudio2005 Express Edtionで作成)

 

作成手順は本当に簡単。
下図のようにフォームの上にMenuStripPanel、Panelの上にPictureBoxと配置していきます。

 

 

Panelをクリックすると、右上に三角マークが表示されるので、それをクリックし、
親コンテナにドッキングするをクリックします。

 

 

次にパネルとピクチャボックスのプロパティを以下のように設定します。

 

panel1->AutoScroll = true;
pictureBox1->SizeMode = System::Windows::Forms::PictureBoxSizeMode::Zoom;

 

■AutoScroll

trueに設定するとパネル上に配置されたコントロールコンテンツ(ピクチャボックスなど)がパネルの大きさより大きい場合は自動的にスクロールバーを表示し、コントロールをスクロールしてくれます。

■SizeMode

ピクチャボックスに設定されたイメージをどのように表示するかを設定します。

 

Normal 画像をピクチャボックスの左上に合わせて表示します。
StretchImage 画像をピクチャボックスの幅、高さに合わせて表示します。
画像をピクチャボックスの幅、高さに合わせて表示します。
AutoSize ピクチャボックスのサイズを画像サイズに合わせて変更します。
CenterImage ピクチャボックスの中心と画像の中心を合わせるようにして表示します。画像サイズがピクチャボックスより大きい場合は、画像がはみ出して表示されます。
Zoom 画像全体をピクチャボックス全体に表示するように画像表示サイズを変更し、ピクチャボックスの中心に表示します。
画像の縦横比はくずれません。

 

画像の読み込みは、こんな感じ↓です。

 

private: System::Void mnuFileOpen_Click(System::Object^  sender, System::EventArgs^  e) {
	//ファイルを開くダイアログの作成
	OpenFileDialog^ dlg = gcnew OpenFileDialog;
	//ファイルフィルタ
	dlg->Filter = "画像ファイル(*.bmp,*.jpg,*.png,*.tif,*.ico)|*.bmp;*.jpg;*.png;*.tif;*.ico";
	//ダイアログの表示
	dlg->ShowDialog();
	//ビットマップファイルから、Bitmapを作成
	Bitmap^ bmp = gcnew Bitmap(dlg->FileName);
	//ピクチャボックスをビットマップ画像サイズに合わせる
	pictureBox1->Width = bmp->Width;
	pictureBox1->Height = bmp->Height;
	//ピクチャボックスのImageへ
	pictureBox1->Image = bmp;
}

あとは、ピクチャボックスの大きさを拡大縮小したい倍率に合わせて変更すれば、勝手に画像は拡大縮小し、スクロールバーは自動的に調整してくれます。

private: System::Void mnuZoomEnlargement_Click(System::Object^  sender, System::EventArgs^  e) {
	//拡大(2倍)
	pictureBox1->Width *= 2;
	pictureBox1->Height *= 2;
}
private: System::Void mnuZoomReduce_Click(System::Object^  sender, System::EventArgs^  e) {
	//縮小(1/2倍)
	pictureBox1->Width /= 2;
	pictureBox1->Height /= 2;
}

と、これだけ!
本当に簡単にすごいことができちゃいます。

ただし、この方法では、大きい画像やモノクロの画像の上に線などの描画ができません。
その場合はDrawImageメソッドをお使い下さい。